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不動産ライター兼不動産経営者 監修 中村裕介 宅地建物取引士、保育士
不動産を売却する場合、消費税はかかるのでしょうか。
また、不動産売却時の消費税を安くおさえるコツなどはあるのでしょうか。
この記事では、以下の疑問・質問にお答えします。
この記事ではこんな悩みを解決します!
- 不動産を売却する場合、消費税がかかるの?
- 不動産売却の売却価格に消費税はかかるの?
- 消費税を安くする方法はある?
この記事では、不動産の売買価格や仲介手数料など、不動産を売却するときに支払う各費用と消費税の関係について解説していきます。
この記事を読めば不動産を売却した場合にかかる各種の消費税についてバッチリ理解することができます。
不動産売却で消費税がかかるもの・かからないもの
不動産売却において、どんなものに消費税がかかり、どんなものにはかからないのでしょうか。
それぞれの費用項目について一つ一つ確認していきましょう。
不動産の売買価格(課税対象の場合のみ)
まず、不動産の売買価格については、消費税は売主が不動産会社であるなど、事業者が販売している場合のみにかかります。
個人が売主の場合、不動産の売買価格に消費税はかかりません。
不動産の売買価格と消費税の関係については、不動産取引において重要なポイントとなるので、次章で詳細に解説します。
不動産会社への仲介手数料
不動産会社への仲介手数料については、売主は消費税を支払う必要があります。
通常、不動産を売却する場合は不動産会社へ売却の仲介を依頼して、買主を見つけてもらい、条件が合えば売買契約し不動産を引き渡すという流れです。
これら不動産会社の販売活動(売却したい不動産の広告や現地案内、契約のサポートなど)の対価として、不動産会社への仲介手数料は支払われます。
仲介手数料は事業者が提供するサービスの代金であるため、売主は不動産会社に消費税を支払う必要があります。
仲介手数料の上限は、以下の式によって計算することができます。(売買価格が400万円以上の場合)
不動産の仲介手数料の上限=(売買価格(税抜)×3%+6万円)×消費税
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司法書士への報酬
司法書士への報酬(登記手数料)についても消費税がかかります。司法書士も不動産会社と同じく事業としてサービス提供を行っているためです。
司法書士への報酬は、実費(登録免許税など)+司法書士への登記手数料で構成されています。このうち登録免許税には消費税はかからず、司法書士への登記手数料の部分に消費税がかかります。
不動産を売却する売主の場合、住宅ローンの抵当権を抹消するための抵当権抹消登記を行います。抵当権抹消登記の場合、報酬の相場が約1万円で、報酬に対する消費税+実費という計算になります。
住宅ローン繰り上げ返済時の返済手数料
住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、住宅ローンを一括で繰り上げ返済する必要があります。この際、金融機関によっては一括繰り上げ返済手数料がかかるケースがあります。
この返済手数料には、消費税がかかります。
繰り上げ返済手数料については金融機関によって無料〜5万円ほど幅があります。
仮に返済手数料が5万円である場合、消費税は
5万円×10%=5千円
となります。
繰り上げ返済手数料についてはそれ自体が見落としがちな費用であるため、売却前に繰り上げ返済手数料について金融機関に確認しておきましょう。
売買価格が消費税の課税対象かどうかは物件種別や売主によって異なる
売主が事業者は課税対象、売主が個人は非課税対象
消費税の基本原則として、売主が事業者である場合は課税対象になり、売主が個人の場合は非課税対象となります。
消費税に関する法律である「消費税法」の第4条第1項には、課税対象について以下の通り規定されています。
消費税法第4条(課税の対象)
第1項
国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第3項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。
要約すると、以下の4つのポイントによって消費税の課税対象となるかが決まります。
①日本国内の取引である
②事業者が事業として行うものである
③対価(お金)を得て行われるものである
④資産の譲渡、貸付及び役務(サービス)の提供であること
売主が個人である場合は、上記②の事業者が事業として行うものに当てはまらないので、消費税の課税対象とはなりません。
売主が個人でも消費税がかかるケースがある
不動産の売主が個人の場合、すべての取引において消費税がかからないかというと、そうではありません。
それは投資用のマンションなど、居住用やセカンドハウスの不動産以外を売却する場合です。
このような場合、投資を事業として行っていると判断されて課税対象となります。
建物は課税対象、土地は非課税対象
売主が事業者である場合でも、土地に関しては消費税が課税されません。
土地は建物と違って消費するという性質のものではないため、消費税の課税対象となりません。
ここから先は余談になるので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。
“建物のみに消費税が課税される”という特徴から、不動産価格に土地と建物の価格が区分されていない場合でも、消費税が分かれば逆算して建物価格、土地価格を算出することができます。
不動産を売却した場合、確定申告の際の譲渡所得の計算を行う必要が出てきます。譲渡所得を計算するためには、売却した不動産を取得するためにかかった費用(取得費)の把握が必要になるので、消費税から建物・土地価格を逆算する方法を覚えておきましょう。
売買契約書等に記載された消費税額から、建物価額、土地価額を計算する方法は以下の通りです。
建物価格 =消費税(売買契約書等に記載されているもの) ÷ 購入時の消費税率+消費税(売買契約書等に記載されているもの)
土地価格 = 土地・建物の合計金額 - 建物価格
消費税率は購入時の税率で計算します。
対象期間 | 消費税率 |
---|---|
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 3% |
平成9年4月1日~平成26年3月31日 | 5% |
平成26年4月1日~令和1年9月30日 | 8% |
令和1年10月1日~現在 | 10% |
例えば、平成7年に5000万円で購入したマンションのケースにおいて、売買契約書等に4000万円(うち消費税84万円)と記載されていた場合、建物の価格は以下の式で求められます。
建物価額:84万円 ÷3% +84万円=2884万円
土地価額:4000万円−2884万円=1116万円
広告に掲載されている不動産価格は税込表示
インターネットや新聞チラシなど、広告掲載されている不動産の売買価格は「税込」で表示されています。
不動産の売買価格に関しては、公正取引委員会の認定を受けている不動産業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約」において、広告の表示の仕方や基準などが定められています。
この自主規制において、不動産の売買価格の表示については「消費税等の額を含む」と規定されています。
また、仲介手数料の計算においては、不動産の売買価格は税抜き価格として計算されています。
まとめ
それでは、不動産を売却する際に支払いが必要となる消費税についてまとめていきましょう。
記事のおさらい
- 不動産の売買価格は売主が個人なら消費税はかからない。売主が事業者の場合は消費税がかかる。
- 不動産会社への仲介手数料には消費税がかかる
- 抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬(登記手数料)には消費税がかかる
- 住宅ローン繰り上げ返済時の返済手数料には消費税がかかる
- 売主が個人でも、投資用不動産の売却の場合は消費税の課税対象となる
- 売主が事業者であっても建物は課税対象、土地は非課税対象
売主の立場では、売買価格についての消費税についてはあまり意識することはないかもしれません。
しかし記事中で解説した通り、仲介手数料や司法書士への報酬など、売却のための各種費用については課税対象となるため、売却前にどのくらいの支出になるのかの計算は必要となります。
今回の記事内容が、不動産を売却する際の消費税を理解する上でお役に立てれば幸いです。
不動産ライター兼不動産経営者 監修 中村裕介 宅地建物取引士、保育士
1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。 商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆中。 趣味はフットサル、旅行、読書。美容と健康のために毎日リンゴ人参ジュース飲んでます。