ガルバリウム鋼板の外壁重ね張りの費用相場とメリットを解説

外壁のリフォームでは重ね張りという手法が人気であり、ガルバリウム鋼板という外壁材が使用されることが多いです。
ガルバリウム鋼板は外壁材のひとつであり、他にも種類は多数あります。
使用する外壁材によって得られる効果や見た目の変化は違ってくるため、素材ごとの特徴を把握しておくことが大切です。
ガルバリウム鋼板や重ね張りという工事手法についての理解を深め、外壁のリフォームをスムーズに行いましょう。

外壁の重ね張りと外壁材

外壁のリフォームを検討している人は、まずは重ね張りとはどのような工事なのか、そこで使用される外壁材にはどのようなものがあるのかを知っておくことが大切です。
まずは外壁リフォームの基礎知識について、正しく理解しておきましょう。
外壁材の重ね張りとは?
そもそも外壁の修理では簡単なひび割れなどの補修から、外壁を丸ごと交換する張り替え、さらに重ね張りなどがあります。
重ね張りは該当の壁を新しいものに取り替えるわけでなく、既存の壁の上に新しい壁を張っていきます。
そのため、カバー工法と呼ばれることもあり、下地はそのまま使用するため完全に張り替えるよりも手間がかからず、費用も安く済む点がメリットです。
ただし、重ね張りが利用できるのは下地が劣化していないことが前提であり、ここが大幅に消耗していると重ね張りでは対処できないこともあります。
条件次第では使えないこともありますが、よほど大幅な劣化や破損がない限りは、基本的には使用できる工事方法でもあるでしょう。
外壁材の種類は主に3つ
外壁材とは外壁に張りつける部材のことであり、代表的な種類は次の3つです。
外壁材の種類 | 特徴 |
---|---|
金属系サイディング |
・表面がアルミやガルバリウム鋼板など ・裏面にウレタンなどの断熱材が入っている ・軽量で建物への負荷が少ない |
窯業系サイディング |
・セメント系の外壁 ・デザインが豊富 ・防耐火性が高い ・外壁重量が重いため建物への負荷が大きい |
樹脂系サイディング |
・海外でのシェア率が高い ・日本での知名度が低い ・耐久性が高くメーカー保証が30年程度など長期な場合もある |
木質系サイディング |
・断熱性に優れる ・自然ともよく調和して木の温もりを感じられる ・メンテナンスコストが、他の外壁材よりもかかる。 ・木材のため水分を含みやすく腐食や変色につながる |
ガルバリウム鋼板のひとつが金属系サイディングで、裏面に断熱材が使用されている点が特徴です。
この素材を張りつけることで建物の断熱性能を高められるため、外壁リフォームと同時に住宅機能の向上が見込めます。
窯業系サイディングは、いわゆるセメント系の外壁で重量がある点が特徴です。
デザインや耐火性などの違いもありますが、金属系サイディングよりもかなり重量があるため、建物への負荷が大きいでしょう。
樹脂系サイディングはアメリカやカナダなどでは約50%程度のシェア率を誇っていますが、日本での知名度はあまり高くありません。
耐久性には優れているものの扱っている業者も少なく、使用に制限が出やすいでしょう。
金属系サイディングのガルバリウム鋼板が人気
3種類の外壁材の中では、金属系サイディングのガルバリウム鋼板が使い勝手がよく人気です。
ガルバリウム鋼板は軽いため建物への影響が少なく、導入しやすい点が魅力です。
加えて耐久性も高いため、長期間使用できることも人気の理由でしょう。
使い勝手のよさから外壁材だけではなく、屋根材として使用されることも増えており、ポピュラーな素材であるといえます。
サイディング張り替えについては、下記の記事で詳しくご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
サイディングの張り替え費用はいくら?料金相場と業者に依頼するときの注意点ガルバリウム鋼板による外壁重ね張りの費用

実際にガルバリウム鋼板を使って外壁を重ね張りしたときには、どれくらいの費用がかかるのか相場を把握しておくことが大切です。
リフォーム時には大きなお金が動くことも多いため、コストはある程度把握しておき、無理のない資金計画を立てておきましょう。
重ね張り自体の費用
ガルバリウム鋼板を使った重ね張りでは、ガルバリウム鋼板の部材費と重ね張り自体の工費それぞれがかかります。
そのため両方の費用を把握して、全体のコストを理解しておくとよいでしょう。
項目 | 費用相場 |
---|---|
ガルバリウム鋼板の重ね張り | 約3,000〜5,000円/㎡ |
足場の設置 | 約800〜1,000円/㎡ |
外壁の工事で高所での作業を行う際には、足場を設置しなければなりません。
そのため、重ね張りの工費は足場の設置費用も含めて計算する必要があり、外壁を150㎡とすると総額で57~90万円程度の費用がかかります。
㎡あたりの広さによって金額が決定するため、さらに広い場合は費用は高額に、狭い場合は少し安くなると考えましょう。
付随して必要になりがちなリフォームの費用
ガルバリウム鋼板の重ね張りだけを行うなら費用相場は57~90万円程度ですが、付随して断熱や騒音対策のリフォームを行うこともあります。
これはガルバリウム鋼板は比較的薄い素材であることが理由で、そのままだと不便を感じてしまうこともあるようです。
断熱リフォームは㎡あたり約5,000〜6,000円程度で、騒音対策の防音リフォームは、㎡あたり約700円〜1,000円程度が相場です。
これらも面積に応じて費用が増減するため、外壁のサイズに合わせて事前にコストを計算しておく必要があります。
ガルバリウム鋼板以外による外壁重ね張りの費用
外壁材をガルバリウム鋼板から別のものに変えた場合の重ね張りの費用は、次の通りです。
項目 | サイディング | トタン |
---|---|---|
重ね張りの費用 | 約3,000円〜4,000円/㎡ | 約3,800円〜5,000円 |
足場設置費用 | 約700〜1,000円/㎡ | - |
シーリング費用 | 約50,000円 | - |
運搬費用 | 約10,000円 | - |
150㎡の外壁の広さでの総額費用 | 約61.5〜66万円 | 約57〜75万円 |
細かい条件によって実際の金額は変動しますが、基本的にはガルバリウム鋼板よりも安価でできる場合が多いでしょう。
最低額は同程度でも、最高額はガルバリウム鋼板のほうが高いため、コストがかかりやすい外壁材であることは理解しておかなければなりません。
外壁塗装の費用相場については、下記の記事で詳しくご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
【2022年版】外壁塗装の費用相場!坪別の適正価格や内訳を事例つきで紹介ガルバリウム鋼板による外壁重ね張りの4つのメリット

外壁のリフォームでガルバリウム鋼板を用い、かつ重ね張りによって工事をする際のメリットは、次の4つになります。
- ガルバリウム鋼板は重ね張りと相性が良い
- 断熱材とセットにすれば断熱効果を発揮
- 張り替えよりもコストがかからず工事期間が短い
- ガルバリウム鋼板は錆びにくく寿命が長い
多数のメリットがあるため、それぞれ理解を深めて、どのような点が魅力的なのかをさらに深堀りしていきましょう。
ガルバリウム鋼板は重ね張りと相性が良い
軽量で建物への影響が少ないがるばガルバリウム鋼板は、重ね張りの工法との相性が優れています。
重ね張りは既存の壁の上に新しい壁を重ねるため、どうしても建物の重量は増えてしまいます。
重量が増えると負荷が大きくなって劣化が早まってしまったり、地震の際に揺れやすくなったりするでしょう。
しかし、ガルバリウム鋼板なら重ね張りでもそれほど重量が増えないため、負荷が少なく耐震性も高いです。
断熱材とセットにすれば断熱効果を発揮
重量が軽いため断熱材とセットにして導入しやすく、リフォーム時に住宅機能を向上させられる点もメリットのひとつです。
断熱材を導入すると重量は増えますが、ガルバリウム鋼板自体が軽いためそれほど大きな問題にはならないでしょう。
機能面でも優れており、リフォーム時の組み合わせ次第でさらに高い効果を発揮する点も魅力のひとつです。
張り替えよりもコストがかからず工事期間が短い
完全に外壁を新調する張り替えと比較すると、重ね張りは短期間で作業が終了し、かつコストも低いです。
低予算でもリフォームができるため、コストを削減したい人にもおすすめです。
ガルバリウム鋼板は特に軽いため業者も作業がしやすく、これも少なからず作業スピードが速いことに関係しているでしょう。
短期間の工事ならストレスも少なく、外壁が素早く修復できるのは嬉しいポイントです。
ガルバリウム鋼板は錆びにくく寿命が長い
耐久性が高い点もガルバリウム鋼板の魅力であり、錆に強く寿命が長いといった特徴もあります。
錆に強いため外観の美しさを保ちやすく、長く使っても汚くなりづらいのは大きな魅力です。
また、長期間使えることでリフォーム費用の節約にもなり、導入してからのランニングコストは低いといえます。
ガルバリウム鋼板による外壁重ね張りの4つのデメリット

豊富なメリットがあるガルバリウム鋼板による外壁の重ね張りですが、実はデメリットもあるため注意しなければなりません。
- ほかの外壁材よりコストがかかる
- 見かけに賛否両論がある
- 「錆びにくい」が「錆びない」わけではない
- メーカー保証の条件が厳しい
これら4つのデメリットを把握し、メリットと比較した上で導入するかどうかを決めましょう。
ほかの外壁材よりコストがかかる
ガルバリウム鋼板は部材費が高く、他の外壁材と比べると導入コストは高いです。
また、薄い素材であるため寒さや騒音などが気になりやすく、断熱材の追加や防音対策などの工事も含めると、さらに費用は増大するでしょう。
また、長持ちはするもののメンテナンスは必要であり、このときの費用も高くなる場合が多いです。
ガルバリウム鋼板は特殊な作りであるため、簡単に塗装ができません。
DIYでの塗装はもちろん、業者に依頼する場合も難易度の高いリフォームとなるため、相場以上に費用がかかってしまう場合が多いようです。
寿命は長い反面、導入時の業者の質によってはすぐに劣化してしまうこともあり、コストがかかりやすい素材であることは理解しておきましょう。
見かけに賛否両論がある
ガルバリウム鋼板はトタンに近い見た目をしており、外観には賛否両論の声があります。
見た目は特に気にしないという人は構いませんが、トタンのようで安っぽい印象を受けた人や、金属で冷たい印象を受けた人などには不向きでしょう。
外壁はデザイン性も重要であり、外観の印象がそのまま家のイメージになることも少なくありません。
何度も目にする部分だからこそデザイン性はこだわることも重要であり、見た目が気に入らない場合は導入すると後悔しやすいでしょう。
基本的には機能性を重視したい人におすすめであり、デザイン性を重視したいなら別の外壁材を検討してみることも大切です。
「錆びにくい」が「錆びない」わけではない
錆に強く耐久性が高い点がガルバリウム鋼板の魅力ですが、絶対に錆びないわけではありません。
メンテナンスが不十分だったり、海辺で塩害が多い地域だったりすると、一定期間経過したのちに錆ができてしまうこともあるため、注意しなければなりません。
また、ガルバリウム鋼板は錆びたものが付着するとその錆が移ってしまうもらい錆を起こしやすく、これにも注意が必要です。
ガルバリウム鋼板自体が錆びなくても、周囲に錆がつきやすいものがあると、もらい錆による被害が出てしまう可能性があります。
きれいな状態を保つには使用環境を選びやすいともいえるため、錆による被害が出るかどうかは事前に考えて対策を練っておかなければなりません。
メーカー保証の条件が厳しい
ガルバリウム鋼板を扱っているメーカーは多数あり、それぞれで保証の条件は異なります。
詳細な条件は違いますが、メーカー保証を受けるための基準が厳しいことは共通しており、保証が受けられないことも少なくありません。
そもそもガルバリウム鋼板は扱いが非常に難しく繊細な外壁材です。
そのため、業者が扱っている時点で劣化していたり、工事の段階で保証の条件から外れてしまったりと、予期せぬトラブルも多いでしょう。
外壁材の種類に限らず、安全に長く使うにはメーカー保証は必須であるため、事前に条件は詳細まで確認しておく必要があります。
リフォームを依頼する業者にも相談して、保証が使えるように工事を進めてもらえるように依頼しましょう。
ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法

日常的なメンテナンスは非常に簡単であり、ガルバリウム鋼板は水を軽く流すだけで大抵の汚れは落とせます。
長持ちさせたいなら3カ月に1回程度は水を流すことが大切ですが、雨や汚れが溜まっていたり、塩害が起きやすい地域なら、さらに短いスパンでメンテナンスをしてもよいでしょう。
このとき注意が必要なのは、水を流すのはホースなどの弱い水流に限定することです。
外壁の掃除では高圧洗浄機を使うことも多いですが、ガルバリウム鋼板は薄い素材であるため、これを使うと塗装が剥がれるなどの劣化を起こすことも少なくありません。
長く持たせたいなら水は優しく流すようにし、強く洗う方法はとらないようにしましょう。
ガルバリウム鋼材で満足のいく外壁リフォームを
今回は、ガルバリウム鋼板について外壁重ね張りの費用相場とメリットを解説しました。
軽量で耐震性が高く耐久性にも優れたガルバリウム鋼板は、外壁リフォームに使用する部<材として人気が高いようです。
特に、重ね張りとの相性がよいため、これらを組み合わせるとより満足のいくリフォームしやすくなります。
ガルバリウム鋼板を使用するならメリットとデメリットの両方を把握し、理解を深めた上でリフォーム時の外壁材として使用しましょう。
外壁リフォームのポイントについては、下記の記事で詳しくご紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
外壁リフォームの費用相場!家の塗装・重ね張り・張り替えなど必要な工事別に解説