外壁のメンテナンス時期と費用 | 10年ごとに塗装が必要な理由も解説

家を建てて築10年前後で検討し始める外壁のメンテナンス。
普通の劣化性能の外壁のメンテナンスは、塗料の劣化が始まる約10年に1回が目安です。
ですが、なかには「まだ外壁は綺麗なのに・・・」と必要性を感じられない方や「費用もかかるので外壁塗装はやりたくない」という方も多くいます。
結論から言うと、外壁のメンテナンスは必ずしも10年に1回行わないといけない訳ではありません。
ただし、外壁の状態を確認するためにも10年ごとに塗装業者などの専門家に見てもらうこともひとつの方法です。
劣化症状がある場合は、外壁塗装や補修工事を行いましょう。
劣化したままの状態を放置すると外壁材の寿命を早めてしまい、塗装だけでなく外壁材の交換が必要になることもありえます。
塗装よりもさらに労力と費用がかかる外壁の交換にいたらないためにも、定期的なメンテナンスを行うことで、外壁を長持ちさせましょう。
この記事では、外壁のメンテナンス時期だけでなく、塗装が必要な劣化症状、メンテナンス方法や注意点について解説していきます。
ぜひ最後まで確認してください。

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり

外壁のメンテナンス時期
外壁のメンテナンス時期は一般的に「新築から10年」です。
10年といわれる理由は、新築の外壁に使用される塗料の多くは費用を抑えるために耐用年数が10年程度であるものを使用することが多いからです。
そのため、塗料の劣化性能にもよりますが、10年前後で外壁塗装のメンテナンスを考えておくことをおすすめします。
なお、家の外壁の素材や状況によって、10年より短い年数でメンテナンスが必要になる場合や、逆に10年以上もつ場合もあります。
そのため、外壁塗装のメンテナンス時期は以下の2つで見極めましょう。
- 塗料別の耐用年数で判断する
- 劣化症状の有無で判断する
それぞれ説明していきます。
塗料別メンテナンスの時期
外壁塗装で使用する塗料には耐用年数があり、塗料ごとに異なります。
費用単価が高い塗料は耐用年数が長く、費用単価が安い塗料は耐用年数が短くなる傾向があります。
アクリル塗料の場合は4~7年、新築物件に多いウレタン系塗料は6~10年、シリコン系塗料は8~15年です。
フッ素塗料や無機塗料といったハイグレード塗料を使用している場合は、15年~20年程度で塗装のメンテナンス時期がきます。
下記の表で自分の家の外壁塗料の耐用年数を確認しましょう。
塗料 | 耐久性(耐用年数) | 塗料の費用相場(約30坪) |
---|---|---|
アクリル系塗料 | 4~7年 | 10~12万円 |
ウレタン系塗料 | 6~10年 | 18~20万円 |
シリコン系塗料 | 8~15年 | 25~32万円 |
ラジカル塗料 | 12~15年 | 27~35万円 |
フッ素系塗料 | 15~20年 | 35~45万円 |
無機などの特殊塗料 | 15~20年 | 50~55万円 |
※塗料の費用相場はあくまで目安です。使用する商品によっても異なるため、詳しくは見積もりで確認してください。
劣化症状を発見したらメンテナンスが必要
経年劣化の症状が見られたら、築10年や塗料の耐用年数にかかわらずメンテナンスを検討しましょう。
主な外壁の劣化症状は以下の6つです。
症状 | 特徴 | 起きる年数(参考値) | 危険度 |
---|---|---|---|
外壁の変退色 |
|
5~6年 | 軽度 |
チョーキング現象 |
|
7~8年 | 中等度 |
カビや苔の発生 | 外壁の表面にカビや藻類が見られる | 6~7年(立地条件、方位等で変わる) | 中等度 |
外壁塗装面のひび割れ |
|
10~12年 | 重度 |
外壁塗装の剥離 | 塗膜が剥がれ落ちる | 10~15年 | 重度 |
外壁基材の割れ | 防水層が破損、劣化した場合、雨漏りなどのトラブルが発生する | 10~15年 | 重度 |
これらの劣化症状を長期間放置していると外壁の劣化が進行し、様々な問題が生じます。
最悪の場合、外壁の早期交換が必要になる場合もあるので、10年のタイミングで劣化症状の有無を確認するのが大切です。
それぞれ説明していきます。
外壁の変退色
外壁の耐久性が下がってくると、少しずつ外壁の変色や退色が見られます。
これは塗料が雨や紫外線などによって劣化するからであり、どのような建物でも時間の経過によって変色していきます。
日あたりによって劣化の状況は異なりますが、現状だけを見てもそれほど問題があるとは認識できない場合も多いです。
危険度としては軽度なため、変色に関してはよほど美観が気にならない限りは放っておいても建物そのものの耐久性への影響は少ないです。
チョーキング現象
塗装をしてから7~8年程度すると、外壁を手で触ると手のひらに白い粉がつくチョーキングという症状が見られることがあります。
チョーキングは雨や紫外線により塗料の成分が分解され、それらが粉状になって表面にあらわれます。
塗り替えを検討したほうがよい劣化症状のひとつです。
中等度の劣化ですが、防水性能が落ちており、放置しておくと雨水が侵入し危険な状態に進行します。
カビや苔の発生
塗装をしてから6~7年程度経過すると、防水性能が落ちると表面に水分がたまりやすくなることでカビや苔などが生え始めます。
放置すればこれらは繁殖し、塗装の劣化が進行するだけでなく美観を大きく損ねます。
単に美観を損ねるだけではなく劣化症状としても中等度から重度に近づくため早めに対処して取り除いておかなければなりません。
コケの予防・除去については下記の記事で詳しく解説しています。
外壁のひび割れ
10~12年程度経つと、乾燥した塗膜が徐々にひび割れていきます。
ひび割れた部分からは雨水などが侵入しやすく、外壁基材が劣化するだけでなく、雨漏りのリスクも高まるため注意しなければなりません。
最初は塗料の膜が割れる程度ですが、放置すると外壁自体が割れてしまうこともありえます。
ひび割れはかなり劣化症状が進んでいるといえるため、シーリング材等ですきまを埋め、その上から塗装をし直して保護力を高める必要が出てきます。
外壁塗装の剥離
塗装をしてから10~15年程度経過すると、塗装が剥がれていきます。
塗装の剥離はひび割れと同時期に起きることも多く、これが起きると塗り替えなどの早期の対応が必要となります。
なお、剥離が見られるのは基本的には10~15年前後ですが、塗料によっては5年以内などかなりの早期に症状が出ることもあります。
この場合は塗料の劣化だけではなく、業者の施工ミスである可能性もありえます。
塗料によって寿命は異なりますが、10年前後はもつものが多いため、あまりにも剥離が早く見られるなら施工した業者に確認し、専門家にも状態を見てもらうようにしましょう。
外壁の割れ
外壁塗装の劣化を放置し続けると、外壁の基材が劣化するだけではなく、家の内部にまで影響を及ぼすこともありえるため注意しなければなりません。
防水性能がなくなることで雨漏りするだけでなく、壁体内に水がたまり、内部から腐食してしまうこともあります。
腐食によって柱や筋交いなどの構造部が腐ったりすることもあり、場合によっては家そのものの耐久性だけでなく、安全面にも大きな影響が出ます。
よほど放置しない限り倒壊などはしませんが、雨漏りの時点で重大なトラブルが起きているといえるため、素早く対処しなければなりません。
ここまで放置すると修繕費用は膨大になることも多いため、内部が劣化する前に外壁塗装をやり直しましょう。
劣化症状を確認したら、早めのメンテナンスを行うことで、未然にトラブルを防ぐことが大切です。

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
専門家の解説
外壁の塗料の種類により、劣化のスピードは変わるため、まずはご自宅の外壁の塗料の成分を知るところから始めましょう。
例えばシリコン系なのかフッ素系なのか施工した業者に確認します。その成分を知ればおおよそにでも劣化する時期を予想することができます。
余程の施工不良や災害が起こらないかぎり、急激に劣化が進むわけではありません。4~5年を過ぎたあたりから定期的にでもご自宅の外壁を観察しておきましょう。
劣化現象を見つけた場合は経過を観察しつつ、早めに専門家に相談して対策を施すことが大切です。
外壁のメンテナンスの種類とかかる費用
一般的な30坪の住宅の場合、外壁のメンテナンスにかかる費用は塗装で70〜100万円、重ね張りで180〜240万円、張り替えだと200〜260万円が相場です。
自治体によっては補助金や助成金を出しているので、条件等もありますが、利用して費用を抑えることもできます。
工事種類 | 費用相場(30坪) | 対応時期 |
---|---|---|
外壁塗装 | 70〜100万円 | 10年ごと |
重ね張り | 150〜240万円 | 築30年~40年 |
張り替え | 200〜260万円 | 築30年~40年 |
※費用相場はあくまで目安です。業者や使用する商品によっても異なるため、詳しくは見積もりで確認してください。
外壁材が丈夫なうちは塗装を行い、30年~40年経過した住宅では傷んだ外壁材を張り替えたり、重ね張りしたりするケースが多いです。
それぞれの費用と特徴について説明していきます。
外壁塗装
外壁に再度塗装するメンテナンス方法です。
30坪の一般的な一戸建ての場合で70~100万円前後が相場です。
工期は10〜14日程度になります。
3つの方法の中で最も安価で、塗装の色を変えることで簡単に家全体のイメージを変えることもできます。 一方で、塗装の塗り替えだけでは補修ができないほど劣化が進んでいる場合は施工できません。
築10年からの定期的なメンテナンスは外壁塗装が一般的です。
カバー工法(重ね張り)
今の外壁の上から新しい外壁を重ね張りする工法です。
30坪の一般的な一戸建ての場合、重ね張りにかかる費用は150〜240万円が相場です。
工期は14〜18日程度です。
重ね張りを行うと外壁が二重になるため、断熱性と遮音性に効果があります。
また、廃材が出ないため処理費用がほぼ不要になり、張り替えより安く新しい外壁材にすることができます。
一方で、外壁の重量が増すため耐震性が低くなってしまうケースや、劣化状況によっては施工できないケースもあります。
外壁材の張り替え
これまでの外壁を取り除いて新しい外壁に張り替える工法です。
30坪の一般的な一戸建ての場合で180〜250万円ほどかかります。
工期は18〜21日程度です。
外壁をまるごと張り替えるため、壁の内部までメンテナンスができます。
しかし、大規模な工事となるために費用がかかり工期も長くなります。
外壁は10年ごとの塗り替えといった定期的なメンテナンスを行い、外壁基材の寿命がきたら外壁を新しくすることになります。
日々の手入れや、10年ごとのメンテナンス、大規模な修繕などを行ことで、家を長持ちさせましょう。
なお、費用を抑えるための助成金や補助金については下記の記事で詳しく解説しています。
外壁塗装で助成金・補助金を受け取る方法は?条件と申請手順・注意点を解説

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
専門家の解説
外壁塗装のメンテナンス費用を少しでも抑えるためには、耐久性の高い塗料を使用し、メンテナンスをしなくてもよい期間を少しでも長くします。
どんなにいい塗料でもいつかは必ずメンテナンスが必要だという認識をもち、軽度から中等度の劣化が認められれば、早期にメンテナンスをしましょう。
早期に対策していくことで重度の劣化症状を防ぐことができます。劣化症状が重度になればなるほどに大がかりな補修工事が必要になり、メンテナンス費用が大きくなります。重度になる前に早め早めの対策を施すことが大切です。
外壁のメンテナンスをしないと起こる3つのリスク
外壁のメンテナンスをしなと起こるリスクは以下の3つです。
- 雨漏りが発生する
- 外壁の見た目(美観)が悪くなる
- 修理費用が高くなる
それぞれ説明していきます。
1.雨漏りが発生する
外壁を塗装する目的は家の表層部(外壁材)の保護です。
外壁の塗装を定期的に行うことによって、家の寿命は長くなります。
とくに外壁は風雨から家を守る大切な役割があるため、メンテナンスをしないでいるとその効果が薄れ、美観を損ねるだけでなく最悪の場合、雨漏りが発生することもあります。
外壁の塗料には様々な役割がありますが、紫外線による劣化やほこりや雨水、汚れや錆などを防ぎ、外壁を守っているのです。
しかし、これらの機能は経年劣化によって少しずつ薄れていくため、ある程度の年数で塗り替えをして、保護力を高めておかなければなりません。
見た目には特に問題がなくても、年数が経過していると知らないうちに劣化が進行していることがあるため注意が必要です。
2.外壁の見た目が悪くなる
外壁のメンテナンスをしないでいると、外壁の色が変色したり、チョーキングで白くなったりするなど、見た目が悪くなっていきます。
10年を過ぎると塗装がボロボロと剥がれるケースもあります。
見た目が悪くなると、手入れをしない家と見られて防犯上もあまりよくありません。
気持ちよく暮らすためにも、定期的な外壁の塗装は欠かせないでしょう。
3.修理費用が高くなる
外壁のメンテナンスをしないでいると、劣化が進み、修理費用が高くなります。
たとえ見た目に異常がなくとも、専門家から見ると早急な対処が必要な場合もあります。
早めのメンテナンスを心がけましょう。
定期的に塗装を行うと、コストが高くつくと考える人もいるでしょう。
しかし、簡単な補修は数万円、外壁塗装は面積によりますが100万円前後までで可能ですが、傷んだ外壁材の張り替えとなると200万円~300万円かかるケースもあります。
実際にはこまめに塗装をしておいたほうが、長期的なメンテナンスのコストを抑えられるのです。
塗装の定期的なメンテナンスを行わないでいると、外壁が長持ちせず、外壁材の修繕や張り替えといった高額な費用を払うことになるので、メンテナンスは大切です。

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
専門家の解説
家の外壁には大きく分けて二つの役割があります。
ひとつが家全体の美しさを保ち、気持ちよく暮らすだけでなく、街の雰囲気の向上にも寄与することです。
そしてもうひとつが外部からの風雨や飛来物、さらには外敵から家の内部を護り、さらには家そのものの耐久性を上げることです。
劣化し色落ちや汚れが目立つ外壁の家は近隣の目も気になるところですが、何よりも本人の家に対する愛着が失われたり、気持ちよく暮らせなかったりという影響もあります。ひいては汚れた外壁の家が並ぶ街並みは印象が悪くなりがちで街の価値にも関係しかねません。
また劣化症状を放置しておくと、表面の劣化やひび割れからやがて風雨による水の浸入につながります。水の浸入は外壁の基材の劣化だけでなく、壁体内にまで入れば雨漏りや、壁の中の柱などの構造材の腐食にも発展し、建物そのものの耐久性や耐震性にも影響することがあります。安全な暮らしや家の価値を損なわないためにも早めのメンテナンスが大切です。
外壁をメンテナンスフリーに近づける方法
結論から言うとメンテナンスが不要な外壁はありません。
どんな外壁でも雨風にさらされることで塗装や外壁基材が劣化してしまうからです。
しかし、以下のように高耐久な塗料や外壁材を使用することでメンテナンスフリーに近づけることはできます。
- 耐用年数の長い塗料を塗り外壁材そのものの耐候性をあげる
- 目地の耐候性をあげて長持ちさせる
- 建材メーカー等が開発したメンテナンスフリーに近い外壁を使用する
それぞれ説明していきます。
耐用年数の長い塗料を塗り外壁材そのものの耐候性をあげる
外壁をメンテナンスフリーに近づけるためには、高性能な塗料で外壁の耐候性を上げるのが効果的です。
一般的に使われるウレタン塗料、シリコン塗料に比べ、高耐久でメンテナンスが少なくて済むフッ素塗料や無機塗料といったハイグレードな塗料を選ぶことで、外壁の耐久性を高めることができます。
さらに高耐久な塗料は汚れにくく、日々のお手入れもかんたんに済ませることができます。
塗料単価は高いので塗装時に費用はかかりますが、塗り直す回数が減るなど、メンテナンスが楽になるだけでなく、メンテナンス費用も抑えることができます。
なお、ハイグレードをうたう塗料の中には、外壁塗装業者のオリジナル塗料というものもあります。
塗料メーカーの場合は、試験結果や口コミ、評判を確認することができますが、塗装業者がオリジナルで作る塗料の場合は成分や実例も含め説明してもらい、慎重に検討する必要があります。
目地の耐候性をあげて長持ちさせる
サイディングやタイルなどメンテナンスが少なくて済む外壁材でも、目地の劣化は避けることができません。
目地はシーリング材を充填しますが、シーリング材は早ければ7~8年程度で色落ちから始まり、進行すれば縮んでひび割れるなどの劣化症状が現れます。
そのため、耐候性の高いシーリング材を使用することでメンテナンスの回数は減ります。
塗料と同じく、高性能なものほどシーリング材も値段が高くなる傾向にあります。
予算と相談し、納得できるシーリング材を使用することでメンテナンスフリーに近づけることができます。
建材メーカーが開発したメンテナンスフリー外壁を使用する
外壁業者のなかにはメンテナンスフリーをうたう外壁材を販売している業者もいます。
ただし、メンテナンスフリーそのものが本来ならば非常に実現が難しいので、どのような根拠からなのか具体的に説明をしてもらい、慎重に進める必要があります。
失敗しないためにも、メンテナンスフリーの外壁材を勧められた場合は、建材メーカーで試験済みの外壁材であるかどうか、保証がつくかどうかを確認することが大切です。

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
専門家の解説
完全なメンテナンスフリーはほぼ不可能です。
どんなに高性能な外壁でもいつかは必ずメンテナンスが必要になる時が来ます。メンテナンスフリーに近づけるということは、メンテナンスをしなくてもよい期間を最大限に延ばすことになります。
そのためには変形や割れが起こりにくい外壁基材に耐久性の高い塗装を施した外壁がおすすめです。木造でよく使われるのは建材メーカーが製造したサイディングという外壁材があります。サイディングには窯業系、金属系など外壁基材によって種類がありますが、建築現場で塗装するのではなく工場で塗装も含め製造しているものです。その中でも塗料による耐久性の違いがあり、例えばフッ素系塗装のように高耐久のものを選ぶ方法もあります。建材メーカーの工場生産の外壁は対候性の試験済みで保証がついているものもありますので、安心です。
あと見逃してはいけないのが、外壁と外壁の間の目地です。そのすき間をシーリング材で施工することが一般的ですが、その材料にも耐久性の違いがあります。メンテナンスフリーは不可能とは言え、近づけるためには外壁だけではなく、目地のシーリング材も同時に考えることが大切です。
自分でできる外壁のメンテナンス方法
自分でできる外壁のメンテナンス方法は以下の3つです。
- 定期的に掃除する
- 高圧洗浄を行う
- DIY塗装をする
専門家へ依頼する以外にも日々のお手入れで、塗装を長持ちさせることができます。
それぞれ説明していきます。
1.定期的に掃除する
自分でできるメンテナンスのなかでいちばん手軽で効果的なものが定期的な掃除です。
外壁の汚れを放置すると劣化が早まるので、年に1~2回を目安に日頃から行うのがおすすめです。
外壁のお手入れ方法
- 外壁に水をかける
- 洗車用の柔らかいスポンジなどで優しくこする
- 再度水をかける
外壁材は強くこすると塗膜と呼ばれる、汚れをはじく役割をするものが剥がれるため、やさしく汚れを落とすようにしましょう。
建材メーカーのサイディングであれば適切な掃除の方法があることが多いので、施工業者へ確認します。
2.高圧洗浄を行う
自分でできる外壁のメンテナンスのひとつに高圧洗浄があります。
水とスポンジで落ちない汚れに効果的で、年1~2回を目処に行いましょう。
高圧洗浄機は外壁だけでなく、玄関やベランダの汚れなど、家庭の汚れ掃除にも便利なので、しつこい汚れで悩んでいる場合は高圧洗浄をするのがおすすめです。
なお、高圧洗浄はよく汚れが落ちますが、外壁の塗装の種類や状態によっては、表面の剥離や損傷をまねく恐れがあるため、塗装のお手入れ方法の確認が必要です。
また使用する際には洗浄音や水しぶきが飛びます。
近隣の迷惑にならないよう、使用する際は周りに気をつけましょう。
3.DIY塗装をする
気になる外壁の劣化を自分でDIY塗装するという方法もあります。
外壁塗装は以下の手順で行います。
- 足場を設置する
- 外壁の洗浄
- 養生を行う
- 下地処理を行う
- 下塗りをする
- 中塗りと上塗りをする
業者に依頼する場合は最低2週間から1か月かかりますが、DIYの場合は最低2ヵ月~3ヵ月かかるケースも多いです。
費用は30万円~50万円と施工業者に依頼する場合に比べ50万円近く費用を抑えられる可能性もありますが、時間と労力がかかり高所作業の危険も伴います。トータルで考えると費用対効果はかえって低くなります。
そのため、安く済ませるためにDIYを選ぶのはおすすめしません。
外壁塗装のDIYの方法と注意点については下記の記事で詳しく解説しています。
木造の外壁塗装をDIYで行う方法 | 塗料の選び方と費用相場も解説

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
専門家の解説
まずは外壁の部分的な汚れやクモの巣、植物等の付着がないか、普段から観察します。気になる箇所があれば、自分でできる範囲で掃除をするなり、付着物を除去します。足場等もない状態なので、高所等危険な場所の無理がある作業はしないことが前提です。あくまでも安全な範囲で気がついた部分に水をかける、やわらかいもので汚れをとるという程度になります。高圧洗浄は表面の剥離の心配がない固い表面であればいいですが、かえって表面を傷めることもあるので、お手入れ方法はあらかじめ施工業者や建材メーカーに確認しておきます。自分で実際にするメンテナンスもありますが、普段から劣化の状態を観察し、早めに専門家に相談できるような態勢を整えておくことも大切です。
まとめ
外壁塗装メンテナンスについてのポイントは以下です。
- 外壁塗装のメンテナンスは一般的に築10年から10年ごと
- 外壁塗装のメンテナンス時期の見極め方は「塗料の耐用年数」と「劣化症状」
- 外壁塗装のメンテナンスにかかる費用は約80万円~300万円(目安)
- メンテナンスをしないと雨漏りが発生したり、見た目(美観)が悪くなる
- 外壁をメンテナンスフリーに近づけるには耐久性の高い「塗料」「目地」「外壁材」を採用する。
- 自分できる外壁のメンテナンス方法は「定期的な掃除」「高圧洗浄」「DIY塗装」の3つ
外壁塗装は一戸建ての家を持つなら気になるお家のメンテナンスのひとつです。
高い費用がかかるため、なるべくならやりたくないと思うかもしれません。
しかし住んでいると家の外壁の劣化症状にはなかなか気づきにくく、大きな被害が出てから修繕を依頼するケースも少なくありません。
日頃の確認やメンテナンスを行っていると余計な費用を払わずに済むので、10年を目安に専門家に点検や相談を依頼してみましょう。 なお、施工業者の選びのポイントについては「外壁塗装業者の選び方を徹底解説!費用相場と最適なリフォーム時期も紹介」で詳しく解説しています。
外壁塗装の業者選びで悩んでいる方や見積もりを取りたい場合は、ファインドプロにご連絡ください。
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外壁塗装のメンテナンスに関するQ&A
外壁塗装が10年ごとに必要といわれる理由は?
外壁塗装が10年ごとに必要と言われるのは、使用される塗料の耐用年数が10年前後であることが多いからです。とくに新築物件の場合は、費用を抑えるために安い塗料を使用するケースもあるため、10年での確認が必要になります。
メンテナンスフリーな外壁はある?
メンテナンスフリーをうたう外壁材はありますが、メンテナンスが生涯不要である外壁材はありません。あくまで、メンテナンスの回数や手間を減らすことができる外壁という意味でメンテナンスフリーという言葉が使われています。詳しくは「外壁をメンテナンスフリーに近づける方法」で解説しています。
メンテナンスをしないとどうなる?
築10年が経ったからといってすぐ家の外壁がダメになる訳ではありません。しかし、家の劣化症状を放置しておくと、汚れた家の外観が気になるだけでなく、雨漏りなどの被害が発生するケースもあります。また、メンテナンスをしないでいる期間が長ければ長いほど、修繕費用は高くなるため、結果的にコスト高になるケースが多いです。
監修者情報

監修者:辻井秀彦 感動空間研究所一級建築士事務所 主宰
22年間大手住宅メーカーの設計部門や研究部門にて
住宅設計、展示施設企画設計、研修企画等、幅広い業務に従事
2014年4月 感動空間研研究所 設立
住宅設計や総合プロデュースを中心に住宅の検査や講師などの経験もあり
公式サイト | 感動空間研究所(kandow.com) |
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専門・得意分野 |
建築及び住宅設計 設計、業者選定も含めた家づくりの総合プロデュース |
保有資格 |
一級建築士 ファイナンシャルプランナー 福祉住環境コーディネーター |