賃貸物件へ入居する時の「消毒料」には支払い義務がある?

2022/02/16公開

賃貸物件へ入居する時の「消毒料」には支払い義務がある?

新居で賃貸を借りようとする際、ほぼ必ず初期費用に含まれている「物件の消毒料」。この消毒料は数万円の請求となるケースが多く、「どうしても払わなければならないのか」と訝しく思う方もいますよね。

この記事では、賃貸物件の消毒料を支払うことは入居者にとって必須なのかどうか、法律の観点から解説していきます。

監修者:弁護士 山上耕司 / エヴィス法律会計事務所

エヴィス法律会計事務所所属。同志社大学法学部卒。弁護士歴20年以上。多くの不動産案件を手掛けており、中でも賃貸借事案に精通している。

Q1.賃貸の初期費用の内訳に「消毒料」がある場合は必ず支払わなければなりませんか?

新居の賃貸の見積もりに「消毒料」が含まれていた場合であっても、賃借人が不要だと判断すれば基本的に拒否の意思表示をすることは可能です。見積もりの内訳に最初から含めて提示されるために義務だと勘違いしてしまう入居者が多いものの、消毒はオプションサービスであり、大家へ話がつけられれば支払いを回避することは可能です。

しかし、賃貸人があくまで「消毒料が必要だ」と主張すれば、賃借人はこれを負担せざるを得ません。なぜなら「契約自由の原則」のもと、賃貸人は消毒料を負担しない人とは契約しないということができるからです。そのため、一方的な主張で消毒料の拒否をすることはできず、大家と交渉してOKをもらわないといけない、ということを覚えておきましょう。

Q2. 大家に「消毒料を支払わないと契約しない」と言われたら法的に抗うことはできませんか?

前項で記載のように、消毒サービスの利用が契約条件に含まれている場合は、消毒料の支払いを拒否できないと考えられます。よって、このケースで「消毒料を支払わなければ契約できない」と言われたら、大家側の「契約自由の原則」に基づき、従わざるを得ないと考えられます。

ただし、法外な消毒料を請求されているケースでは、消費者センターなどに相談するのはひとつの対応方法です。「いくらなんでも消毒料が高すぎるのではないか」という疑念がある場合は、事前に相談してみましょう。

Q3. 「自分で業者に消毒をお願いする」と大家に話せば消毒料の支払いを除いてもらえますか?

こちらも前項に引き続き、大家との交渉ができるのであれば、指定された消毒サービスではなく自分で選んだ業者に依頼することが可能です。ただし、室内消毒は物件内の環境に対する影響を及ぼす可能性があるので、あらかじめ大家や管理会社にきちんと相談したうえで、別途の消毒依頼を行うべきかを確認しておく必要があります。

Q4. 大家や管理会社は物件の消毒やクリーニングをする義務があるのでしょうか?

大家には借主に対して「使用収益させる義務」があるため、一度使われた部屋の住環境を、次の入居者のために整えなければなりません。そのうえで、クリーニングを行わなければこれを満たせないのであれば、クリーニングをすることに対して義務があると考えることができます。「大家は部屋の消毒・クリーニングを行う義務がある」といった直接的な決まりはありません。

加えて、入居時の契約に「特約」として退去時に消毒やハウスクリーニングにかかる費用を入居者側が負担することと記載されていれば、大家や管理会社ではなく、入居者側が費用を負担するケースもあります。

近年ではハウスクリーニングにかかる費用を特約で入居者側に負担することを定めている物件も増えてきており、必ずしも大家や管理会社が負担するものではなくなってきているようです。

Q5. 部屋の消毒が不完全だと感じた場合に消毒料の返還を求めることはできますか?

消毒サービスを契約しているにもかかわらず入居前に消毒が行われていない場合は、「契約不履行」として返金を求めることは可能であると考えられます。その場合、確実に返金してもらうためには「消毒が行われていない」と証明できる証拠が、潤沢に揃っていることが条件になるでしょう。

一方で、消毒自体は行われているものの効果が不十分だったため返金してほしい、という請求に関しては、必ずしも不可能とはいえませんが、効果がどのように不十分だったのかを証明することが非常に難しいです。

まとめ

賃貸物件の消毒料の必要性について、要点をまとめると次のとおりです。

  • 消毒を拒否する意思表示はできるが、大家が「払わないと契約しない」と言う場合は従わざるを得ない
  • 大家には「消毒をする義務」はないが、次の入居者のために住環境を整える「使用収益させる義務」義務は負っている
  • 消毒の不完全を理由に消毒料の返還を求めることはできるが、立証が非常に難しい

賃貸の消毒料は2万円程度からが相場です。
少しでも初期費用を安く抑えたい人は、条件次第で消毒料を断るという選択肢も取れますが、結果として契約できなくなることも覚えておきましょう。
ただし、消毒料の支払い如何で、大家や管理会社との関係性を悪化させては元も子もありません。妥当な作業内容を、妥当な金額で行ってもらえるのであれば、素直に契約に臨むようにしましょう。

監修者:弁護士 山上耕司 / エヴィス法律会計事務所

エヴィス法律会計事務所所属。同志社大学法学部卒。弁護士歴20年以上。多くの不動産案件を手掛けており、中でも賃貸借事案に精通している。

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