12月〜4月は引越しの依頼が集中するため、お早めのお見積もり・ご予約をお願い致します
更新日: 2024年3月29日
主に運送・物流業界で注目されている「2024年問題」。
働き方改革に関連する法改正で、運送・物流業界では2024年4月から本格的に適用される予定となっています。
引越し業界でも、大きく影響を受けることになりそうです。
実際に、法改正によって直接的な影響を受けるのは、引越し業者やドライバーといった、事業者側になります。
しかし、事業者に影響があるということは、結局のところ利用者側にも影響があるということです。
では、実際に事業者側・利用者側にそれぞれどんな影響があるのでしょうか?
引越し侍では、提携している引越し業者にアンケートを行い、実態を調査しました。
目次
そもそも2024年問題とは、2019年に実施された「働き方改革関連法」による労働時間の改善を求める法改正・労働時間の上限規制によって発生する、運送・物流業界の諸問題を指します。
2019年に行われた「働き方改革」は、労働時間を月45時間、年間360時間に定めるというもので、既に他の業界では適用済みとなっています。
しかし、運送・物流業界においては他の業界と働き方が異なることや、社会への影響が大きいことから、2023年3月末までは適用期間が猶予されていました。
2024年4月からは、年間960時間を上限とした労働時間の制限が、運送・物流業界でも適用されます。
この法改正を適用することで、労働環境の改善をはかる目的があります。
しかし、その一方で、収入減少による人手不足や、それによる料金の高騰など、様々な問題も懸念されています。
引越し業界では特に、労働時間が長くなりやすい長距離引越しに関して、対応するのが難しくなる業者が増えてくる可能性があります。
しかし、長距離の引っ越しは単価が高いため、これで利益を得ていた業者も少なくありません。
長距離の引っ越しで利益が得られなくなれば、近距離の引っ越しも値上げさざるを得ないかもしれないのです。
また、1業者が対応できる引っ越しの数の減少と料金高騰は、2018年~2019年に問題となった「引っ越し難民」が発生しやすくなる条件です。
来年の3月・4月は、この「引っ越し難民」にも注意が必要になる可能性があります。
では、この2024年問題について、実際に引越し業者はどのように感じているのでしょうか?
ここからは、引越し業者に直接調査した結果を紹介していきます。
まずは、2023年12月時点で、既に影響があるかどうかを調査しました。
現時点で、実際に影響がある業者は約4割程度。
過半数は、影響がないという状況のようです。
「影響がない」という背景には、「まだ対応していない」というほかにも、いくつか理由が考えられます。
改正後の基準の適用は、3/31日まで猶予されていますが、それまでに対応することも可能です。
そのため、従業員数が多い引っ越し業者の中には、数年かけて既に対応済みなので、現時点では影響がないということもありえます。
また、業務形態や運営方針などで、4/1以降の基準を適用してもしなくても、大きな影響はない業者もいるようです。
現在起きている主な影響としては、「1日あたりの対応件数の減少」が最も多い結果となりました。
人員減少なども既に発生しているようです。
ほかにも、対応エリアの減少や経費の高騰が起きたり、長距離引っ越しが難しくなったりなどもあるようです。
労働時間の上限規制では、1日あたりの労働時間が短くなり、対応件数が減ってしまうのは当然のように思えます。
労働時間が短くなって、仕事による心身の負荷が減ることで、離職する人はむしろ減りそうな印象がありますが、実はそうではありません。
引っ越しを含む運送・流通業界はそもそも、「たくさん働いてたくさん稼ぎたい」という目的で就業している人が多くいます。
こうした人にとっては、業務時間が短くなってお給料が減るのであれば、同じ仕事を続ける意味はなくなります。
その結果、もっと稼げる仕事を探して離職してしまうのです。
こうした理由もあり、既に対応件数と人員の減少といった影響が出てきているようです。
では、4月1日以降は、どのくらいの業者がどんな影響を受けるのでしょうか?
2024年4月以降は、約8割の業者が「2024年問題」による影響を危惧しているという結果になりました。
今回の労働時間の上限規制では、年間の労働時間の規制しか明記されておらず、さらにこの「年間」の基準も、業者によって異なるようです。
つまり、上限に達するタイミングは業者によって異なるということになります。
そのため、約2割の業者は「影響がないのではないか」と推測していると考えられます。
予測される具体的な影響は、やはり「1日当たりの対応件数の減少」が最も多いという結果になりました。
「人員の減少」という回答も変わらず多いですが、「経費の増加」という回答も。
経費が増えるということは、引越し料金が値上がりすることにもつながります。
約8割の引越し業者が、4月以降の2024年問題で「影響がある」としていました。
では、その問題に対策は行っているのでしょうか?
4月以降に「影響がある」とした約8割の引越し業者の中では、約7割が対策を行っているようです。
一方、約3割の業者では、2024年問題による影響を危惧していながら対策を行っていないという結果になりました。
「対策のしようがない」、「どう対策したらいいかわからない」といったほか、「労働時間の規制を守らないとどうなるのかよくわかっていない」という業者もあるようです。
4月以降に「影響がない」とした約2割の業者の中でも、25%は対策をしていることがわかりました。
引越し業者の、2024年問題の意識の高さがうかがえます。
具体的な対策で最も多かったのは「社内の効率化」、次点で「料金の値上げ」でした。
引っ越し業界では相見積もりをして、最初に出した見積もり料金から値下げすることが常態化しています。
そのため、料金を上げることが難しく、社内の効率化でやりくりをするというのが最もやりやすい対策といえるのかもしれません。
とはいえ、料金の値上げをしている業者も多いです。
実際に、ここ数年の引っ越し料金は確実に上がっており、2024年は過去最高の平均料金となりました。
■ 2月の引っ越しの平均料金
単身 | 家族 | |
---|---|---|
2022年 | 57,723円 | 102,625円 |
2023年 | 64,669円 | 113,306円 |
2024年 | 69,499円 | 125,117円 |
従業員の賃上げで人手不足の解消をねらう業者もあり、そうした業者ではドライバーの働き方改善につながっているといえるかもしれません。
また、混載便や列車の利用など、運送方法の工夫でやりくりしようとする業者もありました。
ここまで、2024年問題による引越し業者への影響について紹介してきました。
では、引越し業者が受ける影響が、一般の引っ越し利用者にどんな影響をどれくらい与えるのでしょうか?
引越し業者が予測する、利用者への影響を調査しました。
引越し料金については、「変わらない」と予測した業者が最も多く、次いで「100~110%ほど値上がりする」という回答が多い結果となりました。
2024年2月の平均料金が単身で約7万円、家族で約12万円。
110%に値上げすると仮定すると、単身で約7.6万円、家族で約13.8万円まで相場が上がると予測されます。
実際に値上げをしている業者も多くいる中で、なぜ引越し料金が「変わらない」と答える業者が多いのか?
データのとおり、引っ越し費用相場は実際に値上がりしています。
一方で、「値上がりしていない」と感じている引っ越し業者も多く存在します。
こうした認識の違いは、「見積もり時の値下げ」によって発生していると考えられます。
前述したとおり、訪問見積もりの際に、提示した料金から値下げして請け負うのが一般的。
「値下げ」という行為を行うために、見積もりを行うスタッフは「相場が上がっている」と感じる機会が少ないのではないかと考えられます。
引っ越し枠(引越し業者が対応できる引越し件数の数)についても、「変わらない」と考えている業者が最も多く、次点で「少し減少する」という回答が多い結果となりました。
ただし、「かなり減少する」「まぁまぁ減少する」といった回答を含めると44%で、程度の差はあれど「減少する」と考えている業者が最も多いことになります。
実際にこれまでの調査結果でも、「1日の対応件数を減らす」としている業者も多くあったため、引越し枠が減るのは妥当といえます。
引っ越し枠が減少し、費用が高くなれば、次に起こるのは「引っ越し難民」です。
引っ越し難民とは、2018年・2019年に話題となった「引越ししたくてもできない」人のこと。
一般利用者だけでなく、オフィスや市役所といった施設の引っ越しも困難になり、大きな問題となりました。
新型コロナウイルス感染による行動制限などで一時は落ち着いていた引っ越し難民ですが、現在危惧されている料金高騰や人手不足などが解消されなければ、2025年の繁忙期にもまた発生する危険は多いにあります。
労働時間が制限されると、これまで長時間労働で対応していた長距離の引っ越しに影響が出るのは想像に難くないでしょう。
では実際に、引越し距離によって影響に差は出るのでしょうか?
近距離・長距離ユーザーへの影響についても、それぞれ調査を行いました。
調査の結果、ユーザーへの影響は距離によって大きく異なることはなさそうだということがわかりました。
近距離・長距離ともに、「影響がない」という回答はわずかで、「料金が上がる」「希望日の選択が難しくなる」という回答が多いようです。
ただ長距離に関しては、「引っ越しにかかる日数が伸びる」という回答も多くみられました。
長距離引っ越しだけでなく近距離引っ越しの費用も増加してしまう理由はいくつか考えられます。
つまり、時間がかかる引っ越しは高確率で料金が高くなることが予想されます。
長距離引っ越しはもちろん、荷物が多い家族の引っ越しなども、距離に限らず料金が高騰するかもしれません。
これまで紹介してきたように、2024年問題は決して事業者だけの問題ではなく、一般消費者にも大きな影響を与えます。
■ 引っ越しの2024年問題で予想される消費者への影響
しかし一般消費者も、事業者と同じように、この問題について取り組むことができます。
それが、「引越し希望日の分散」です。
2024年問題の大きな要因のひとつとなっているのが「人員不足」ですが、引っ越し業界の場合はそれに加えて「需要の集中」があります。
多くの消費者の、不動産会社との契約や就職・進学などのタイミングが重なることから、毎月月末の土日と3月・4月に引越しの依頼が集中しているのが現状です。
ただでさえ少ない人員で作業を行っているところに依頼が集中すれば、引越しに高い料金がかかるようになったり、希望日に引越しができなくなったりします。
逆に、依頼が少ない時期(月末以外の土日や平日、5月~2月)に引っ越しをずらすことができれば、安く引っ越しできたり、対応可能な引越し業者を見つけやすくなったりするのです。
引越し業者としても、引越し依頼が分散されれば、時期による料金差を減らせるほか、人員不足も解消されるので費用を安く抑えることも可能になります。
今後は、引越しにかかる時間も長くなることが予想されています。
特に荷物が多い人や長距離の引っ越しの人は有給休暇を利用して平日に引っ越しを行うなどの対策をすることで、2024年問題解消の一助となることができるのです。
引越し業界における「2024年問題」は、以下のような影響を与えることが懸念されています。
■ 引越し業者の影響
■ 消費者への影響
しかし運送・物流業界においては、「長時間働いて高賃金を得たい」と考える従事者も多いため、この規制により「ただ稼げなくなった」と感じて離職するドライバーが増加することが懸念されるため、人員不足や料金の高騰などの問題が発生しています。
労働時間をただ規制するだけでなく、そのうえで今までと同水準の収入がなければ、労働環境の改善とはいえません。
ドライバーや作業スタッフの労働環境の改善がされにくいのは、市場全体の問題点でもあります。
引越し利用者が今まで「不適切なほど安い価格でサービスを受けている」という側面もあるからです。
事業者が作業員やドライバーに適正な賃金を支払うためには、ユーザーが引っ越しに対して適正な料金を支払うことも大切です。
ユーザーが納得する価格かつ、事業者やスタッフにも適正な報酬が入る価格でうまくバランスをとる手助けをするのが、引越し侍の役割だと考えています。
まずは、ユーザーに適正価格を提示することで、引越し業者が安すぎる料金で引っ越しをしなければならない状況を改善していくこと。
また引越し業者を複数比較検討することで、ユーザーが高すぎる料金で引っ越しすることを防ぎます。
さらに、引越し業者を選ぶ基準が「安さ」だけにならないよう、口コミや評判を掲載して納得感のある引越しができるサポートを行います。
引越し業者とユーザーが適正な価格で引っ越しができるようになれば、ドライバーや作業スタッフにも適正な賃金が支払われるようになります。
このようにして引越し侍は、引越し業界の問題解決とさらなる発展に向けて尽力してまいります。
引越し侍では、引っ越し見積もり費用の相場と料金を比較できる2つのWebサービスを提供しています。
単身の小さな引っ越しから・家族やオフィスの移転まで24時間無料で簡単に見積もりの依頼ができます。
今ならサービスをご利用いただくと「引っ越しの準備・手続きチェックリスト」と「引っ越し料金キャッシュバック(抽選)」特典をご用意しています!
引っ越しまでのやることがわからない人や、引っ越しに伴う手続きをチェックリストで段取りを確認できます。
また、引越し業者の選び方は「料金」「口コミ・評判」「サービス内容」「ランキング」が確認するポイントです。
引っ越しは時期によって相場が変わるため、引っ越しの日程が決まったらまずは見積もりを依頼しましょう!
新着記事
引越し侍は株式会社エイチーム(東証プライム市場上場)のグループ企業のサービスです。
証券コード:3662
運営会社:株式会社エイチームライフデザイン
〒450-6432 名古屋市中村区名駅三丁目28番12号 大名古屋ビルヂング32F