職場での引越し手続き – 報告の義務はある?怠ると処分の可能性も

2022/01/18公開

職場での引越し手続き - 報告の義務はある?怠ると処分の可能性も

引越しをすると自治体役場への届け出やライフラインの契約など、さまざまな手続きが発生しますが、皆さんは勤め先への住所変更の報告をきちんと行っていますか?

実は、転居の届け出を勤めている会社にしないと後々、大きなトラブルにつながってしまうリスクがあります。この記事では、職場へ引越しの報告をするのがなぜ大切なのかと、住所変更を伝える際に気になる様々な疑問についてお答えしていきます!

監修者:社会保険労務士 久野勝也 / 社会保険労務士法人とうかい

大学卒業後、大手百貨店に入社し外商を担当。知り合った経営者の役に立ちたいと考え、2011年に社会保険労務士事務所を開業。以後、企業の成長に貢献する提案型の社労士事務所として多く支持を集め、現在は上場企業から中小企業まで350社を支援。2019年より名古屋事務所を開設し、企業のIT化やクラウドツールの導入支援などにも従事。

なぜ、引越ししたことを職場に報告する必要がある?

なぜ、引越ししたことを職場に報告する必要がある?

プライベートで引越しをしたとしても、引越しの事実を職場に報告することは義務付けられています。従業員の所在地は社会保険や税金等の諸手続きをはじめ、通勤手当の算定、就業規則の適用などにも影響するからです。

ここでは、引越しをしたことを職場に報告しなければならない数点の理由について解説します。

健康保険・厚生年金の支払いが住所と大きく関係するから

1つ目の理由は、社員の健康保険(社会保険)や厚生年金の住所変更手続きがされないトラブルが起きてしまうというものです。住所変更手続きができていないと、健康保険の場合はいざという時の診療が受けれなかったり、厚生年金であれば通知が現住所に届かなかったり、といった問題が発生する可能性があります。

なお、「協会管掌健康保険(協会けんぽ)」の健康保険や厚生年金の引越し手続きは、市区町村に転入届を出せばマイナンバーで連動しているので、以前とは異なり必ずしも会社で代理手続きをする必要がなくなりました。ただし、健康保険証の発行の際、企業が運営する健康保険組合の場合なら引越しの届出が必須なので、健康保険組合に手続きの仕方を確認する必要があります。

住民税の支払いが住所と大きく関係するから

2つ目の理由は、会社から自治体へ支払われる社員の住民税に変更が生じるケースがあるからです。

住民税はその年の1月1日に住んでいる自治体に対して支払いを行います。そのため、もし翌年になっても新居の住所が会社に報告できていない場合、旧住所の所在地が属している都道府県に対して住民税が支払われてしまう、などのトラブルにつながります。

住民税の支払いは給与から天引きされるため、引越しの報告がないと会社が把握している住所の更新が行われないため、このようなリスクがあります。こういった理由から、引越しをした際は必ず、職場に対して新住所の報告をする必要があるのです。

正しい通勤手当の支払いには住所が必要だから

3つ目の理由は通勤手当の計算に影響するという点です。

正しい通勤手当を支払うためにも、会社は従業員の現住所を把握しておく必要があります。もし、古い住所のまま届け出がなされなければ、旧住所と会社の距離などを鑑みて会社の規定に則った通勤手当が支払われます。

もし、新住所に変更になった後の通勤手当が、旧住所に住んでいたときの金額よりも少ない場合、本来受け取る通勤手当よりも多い金額を不当に受け取っていることになります。

会社に届け出ずに不当な通勤手当を受け取っていた場合、意図的に報告していないなど悪意があるとみなされれば、会社によっては処罰の対象になる可能性もあります。また、多く受け取った分の通勤手当は返還の対象になります。

緊急事態のときに正しい住所を把握する必要があるから

地震や台風、大雨などの災害時や、従業員の消息不明などの緊急事態に見舞われたときに、正しい住所がわからなければ会社側が安否を確認できないケースもあります。

例えば、従業員が無断欠勤して急に連絡が取れなくなった際に、一定期間連絡が取れないことが判明した時点で、同僚や上司などが自宅に様子を見に行くことも考えられます。しかし、このときに正しい住所が報告されていないと自宅に向かうことができません。

緊急事態に正しく対処できるようにするためにも、職場に引越し先の住所を届け出ることは重要であるといえます。

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専門家の解説

職場への住所変更の報告は、職員が厳守しなければならない「義務」です。社員の引越しを会社が把握できていないことで様々なトラブルに繋がり、多数の部門へ迷惑をかけることになります。もし、引越し後に期間が空いてしまい、会社に言い出しづらくなっている人がいても、必ず報告をあげるようにしましょう。
また、単身者であれば、感染症などで突然の自宅療養などになった際に、万が一の場合に会社からサポートを受けることも可能です。信頼できる先に転居を伝えておくことは、身の安全を守る観点からも重要です。

職場へ引越しの報告をしないと起きる問題

職場へ引越しの報告をしないと起きる問題

職場へ住所の変更を届けていないということは、就業規則に違反するということになります。したがって、報告しなければ何らかの懲罰や処分が下る可能性があると考えましょう。

一般的には、会社の就業規則に「引越し等によって住所が変更になった場合は、速やかに会社へ届け出ること」と記述されているケースがほとんどです。前述のとおり、税金や社会保険料、緊急時の連絡などのため必要不可欠な情報だからです。

また、会社が古い住所のまま住民税の支払い手続きを勧めてしまうと、新しい住所の自治体に住民税が納税されなくなるため、新しい住所の自治体からすると「住民税が未納である」とみなされます。気がつかないうちに税金の未納を発生させてしまわないためにも、引越し報告をして確実に新住所の自治体へ納税されるようにしておくことが大切です。

加えて、「住民基本台帳法」という法律においては、引越しをした後は新住所に住民票を移さなければならないと定められており、転居後も住民票を旧住所に残したままにしておくことは、法律の観点からできません。また、新住所に住民票が移っていないことは、その他の手続きにも様々な支障をきたします。

そのため、住民票上の住所と職場に報告している住所を旧住所で一致させておく、という方法も、一般的に考えて取れないと考えておきましょう。

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専門家の解説

企業の従業員は、自身の情報が変更され、それを報告しなかった場合は職務規定や就業規則違反になるケースが多いです。これらの違反となった場合、一般的には「減給」や「降格」、重いケースでは「懲戒解雇」といった処分が下ることもあります。ただ報告しなかっただけ、という軽い考えを持つのは禁物です。
過去、私の顧問先でも職員を懲戒処分したケースがあります。引越しで通勤手当が変更になったのに、引越し前の金額でもらい続けていたためです。本人は届出忘れで悪意がなくても、会社から見ると非常に心象が悪く、信頼を失墜する行為です。些細なことで信頼を失わないためにも、報告を忘れないようにしましょう。

会社への引越しの報告はいつすべきか

引越しの報告が義務であることは既にお伝えしたとおりですが、具体的にいつ引越し報告をすべきなのでしょうか。

基本的には就業規則に則って行う必要があると言えますが、それを前提として、シチュエーション別に最適なタイミングをご紹介します。

引越し前に行う場合

就業規則に「引越し前に新居の住所を報告するように」と義務付けられているのであれば、その規定に従う必要があります。就業規則に特別な規定がなかったとしても、引越しに関する様々な手続きの煩雑さを考えれば、できるだけ早めに報告を行っておくのが良いでしょう。住所変更手続きができていないと、健康保険の場合はいざという時の診療が受けれなかったり、厚生年金であれば通知が現住所に届かなかったり、といった問題が発生する可能性があります。

早い段階で引越し先が決まっているのであれば、引越し前に会社に報告を済ませておくと、会社側も余裕をもって諸々の手続きを行えるので安心です。

引越し後に行う場合

多くの就業規則では、住所変更は「引越し後、速やかに」届け出るように求められます。厚労省のモデル就業規則においても、住所変更後は速やかに会社に届け出るように記載されているため、多くの企業がこれにならっていると考えられます。

第5条 労働者として採用された者は、採用された日から __週間以内に次の書類を提出しなければならない。

① 履歴書
② 住民票記載事項証明書
③ 自動車運転免許証の写し(ただし、自動車運転免許証を有する場合に限る。)
④ 資格証明書の写し(ただし、何らかの資格証明書を有する場合に限る。)
⑤ その他会社が指定するもの

2 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更事項を届け出なければならない。

出典:モデル就業規則 – 厚生労働省

基本的には引越し後の2〜3日後、遅くとも同じ週内には会社に報告を済ませるのが望ましいでしょう。もし、速やかに報告できない何らかの事情がある場合は、その旨を相談しておくことをおすすめします。

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専門家の解説

どのタイミングで会社に引越しを報告しなければならないのかは、まず、ご自身の勤め先の就業規定などを読み把握しましょう。そのうえで、職場環境や就労状況などにより事前の報告や何らかの手続きが必要かどうかは、上司の方と相談し、確認しておくとスムーズです。
会社によっては、「通勤時間が以前と比べて長くなる」などの労働に対する社員の疲労感の変化などを心配しているケースもあります。転居後の通勤経路、通勤時間などについても事前に上司に報告しておくことをおすすめします。

職場への引越しの報告に関するQ&A

職場への引越しを報告するにあたって、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。

報告せずに引越しが会社にバレたらどうなる?

前述のように、未報告であることが判明すると、就業規則違反で処分が下る可能性があります。また、本来かかる交通費よりも多くの通勤手当を受け取っていた場合は、差額を返還請求される可能性もあります。

同棲のために引越しする場合は報告する必要がある?

どのような理由で引越しをする場合でも、引越しの報告自体は義務付けられています。しかし、「同棲する」ことについての報告義務はありません。あくまで、「自身の住所が変更になる」ことは報告する必要があります。

上司に引越しを事前に相談する必要はある?

原則的には事前に相談する必要はありません。ただし、新居を会社の近くから遠くにするのであれば、事前に相談したほうが望ましいでしょう。

特に、急な対応を求められる職場においては、緊急時にすぐに出社して対応できなると、自身を含めた周囲の業務フロー変更なども検討しなければなりません。

職場への引越しの報告についてまとめ

職場への引越しの報告について、今回お伝えした内容は下記のとおりです。

  • 引越しをしたときは、職場に転居後の住所報告が必須
  • 就業規則などで義務付けられていることから、報告を怠ると何らかの処分が下る可能性もある
  • 引越し前に報告しておくと会社にも親切だが、遅くとも引越しを終えたその週のうちに報告が望ましい
  • 引越ししたことの報告は必須だが、引越し理由は無理に伝える必要はない
  • 特別な理由がある場合は、上司に引越しを相談した方が良いケースもある

これから新居への引越しを検討している方は、本記事をぜひ参考にして、引越し後は速やかに職場へ報告しましょう。

監修者:社会保険労務士 久野勝也 / 社会保険労務士法人とうかい

大学卒業後、大手百貨店に入社し外商を担当。知り合った経営者の役に立ちたいと考え、2011年に社会保険労務士事務所を開業。以後、企業の成長に貢献する提案型の社労士事務所として多く支持を集め、現在は上場企業から中小企業まで350社を支援。2019年より名古屋事務所を開設し、企業のIT化やクラウドツールの導入支援などにも従事。

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